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三重大学工学部同窓会. Powered by Blogger.
2018年3月22日木曜日
[大学・学科・氏名]     三重大学 大学院工学研究科 電気電子工学専攻 1年 福田
[留学先]          アメリカ カリフォルニア州 シリコンバレー
[期間]           2018年3月11日(日)~3月18日(日) 1週間
[留学日程]         SSISシリコンバレーツアー」へ参加
3月11日(日)羽田空港にてオリエンテーション、アメリカサンフランシスコバークレー着
3月12日(月)UCB Swarm lab.訪問、Autodesk Pier9 workshope、近郊観光
3月13日(火)Synopsys社訪問と討論、実業家・谷川秀行氏訪問と討論、Stanford大学観光
3月14日(水)Stanford大学INMP Lab.訪問とミーティング、Computer History Museum訪問
3月15日(木)Lam research社訪問と討論、Intel Museum訪問
3月16日(金)東芝メモリ北米開発センター訪問、Wrup up討論(まとめ発表)
3月17日(土)サンフランシスコ空港からロサンゼルス経由で羽田空港発
3月18日(日)羽田空港着
写真は現地時間3月17日東芝メモリ北米開発センター前
(中央前:自分、中央後:副社長、他同行メンバー)
[応募きっかけ・就職活動・自分という人間]
私がなぜ留学しようと思ったのか、について書く前に私が置かれている状況(就職活動)や自分について書きたいと思います。私は大学院の1年生であり、人生を決めるといっても過言ではない「就職活動」の最中です。今まで歩んできた人生。そしてこれからの人生。その方向を決めるために、自分の軸になっているものを探していました。私は高専出身なので、電気電子工学を約8年間学んできましたが、正直これからの人生はどんな選択をしても良いんじゃないかなあ~とか、どれでもいいんじゃないかなあ~とか、そんなふんわりイメージを持っていました。自動車?ロボット?IT?医療?化学?現代には面白いことが調べればすぐ出てきますし、入ってから何をするかなんてものは、希望通りにいかないことがほとんどだと思います。でも、その中で自分という存在は1人しかいないのだから、1つだけを選ばなければなりません。よくわからないなあ~、大手入ったら派閥とかあるんだろうし、エリートばかりだと自分がやりたいように伸び伸びできないだろうし・・・。そのような言い訳というか、悩みというか、ふんわりイメージを持っていました。その後、色々な会社の説明会を聞いていった結果、私はざっくりですが、自分の研究分野である「半導体」とものづくりの原点と考えていた「自動車」の分野で働きたいなと考えるようになりました。理由は、どちらにも自分が働いた時のイメージを持つことができたことと、単純に面白そうと直感で感じたからです。そして、本当はどちらがやりたいのかを確かめる為に私は行動しました。
まずは「自動車」です。やりたいことが本当に自動車なのか確かめる為に、トヨタ系列を中心に約1週間以下のインターンシップに合計4社参加しました。事前に考えていたように非常に面白い経験ができました。ですが本音を書くと、本気で叶えたい未来に向かうというよりは、トヨタ自動車の方針に沿って、その中でどうするかを考え実行していこうとする考え方だと感じました。各々の車載シートやブレーキシステム等の技術を活用して、これからも最先端の製品を生み出していく、という姿勢は素晴らしく感じたものの、チャレンジ精神の低さ、周りに合わせる古き良き日本企業の象徴だと思いました。特に感じたのは「電気自動車や自動化になった時にどうするのか」に対して、楽観的でチャレンジしないのかな、と思った点が疑問でした。また、周りの就活生もトヨタ系列という安定が約束された看板の下で、無難な選択をしてきていると感じました。彼らが悪いわけではなく、トヨタ系列にはそういう人達が集まってきて、社員にも多いんだと思った時、これは違うな、と思いました。出る杭は打たれる、風土があるところで自分はできないなと。私は主にトヨタ系列しか見ていませんが、自動車は違うと思うようになりました。そして次に、半導体をやりたいのか確かめる為に行動しました。
半導体分野は知っている人も多いと思いますが、過去の1990年代は日本が世界のトップを走っていました。当時では売上高のトップ10に日本の企業が半分入っていました。しかし、現在は東芝(東芝メモリ)の一社のみ。完全に日本が世界で負けた分野です。だから、安定してないし、将来どうなるかわからないと考えていました。だから、私の周りでも半導体関連の企業を選ぶ人達はほとんどいません。しかし、私は四日市の東芝メモリに工場見学した際、自動化された生産工場と世界最大のNANDフラッシュメモリ工場、そして働いている人々の活気を見たとき、その不安要素は大きく取り払われました。ニュースや周りの人が話しているような悲観的な内容ではなく、むしろ東芝と分社化したことによるメリットが大きいという話で、これからの未来を歩んでいく強い意志を感じました。また、私は半導体分野の中でも、半導体を生み出す為の半導体製造装置分野にも興味があり、工場見学しました。ここでの経験が今回の留学に繋がります。半導体製造装置を買う企業はどこか、それはAppleIntelといったシリコンバレーにある世界トップ企業です。そこに納得してもらう製品を作るためには、圧倒的な技術を持っていなければなりません。だから、半導体製造装置を作る企業って面白いなと思うようになりました。韓国や中国といった企業がどんどん台頭してきている中でも、確かな地位を築き、本当に挑戦し続けている。そこが私に合っていると思いました。この半導体分野と半導体製造装置分野のどこかの企業に就職していきたいと考えるようになりました。そして、ふと思ったのです。半導体分野の企業に入った時、「敵はどこだ」、半導体製造装置分野の企業に入った時、「顧客はどこだ」、それはアメリカ、特にシリコンバレーにあるんじゃないかと思ったのです。このように、自動車と半導体で悩み、自動車は違うと感じました。そして、半導体では世界を見なければならないと感じました。

 [参加目的]
先に述べたように、私が半導体分野、半導体製造装置分野に就職した際、世界を動かしているシリコンバレーにある企業やそのような企業が生まれるシリコンバレーという場所を知っておくことが将来の人生において重要であると考えた為、このグローバル人材プロジェクトに応募しました。そして、半導体産業人協会(SSIS)が主催するシリコンバレーツアーに参加しました。より具体的な目的は、自分の目でシリコンバレーを体感し、「自分に足りないものは何か」、「どういう目標を持って頑張れば良いのか」をはっきりと自覚することです。

[訪問先で行ったこと・感じたこと・考えたこと]
訪問先は大学・企業・博物館の3つです。訪問先で学んだこと、経験したことについて述べます。まずはカリフォルニア大学バークレー校の井上隆秀教授より、「働き方改革とIoT」について学びました。

(井上氏の言葉解釈)“働き方改革により、帰れる時間が早くなったり、ブラックじゃなくなったりと利点がある反面、社会が回らなくなったり、個人の成果ばかりに焦点が当たるようになったりするという長所と短所がる。つまり、仕事と暮らし、勉強、社会制度等の複合的な改革を起こさなければ、実現しない。また、このような話はなぜ今でできたのか、それは自殺率や少子高齢化、GDPといった問題が引き金となって社会全体としての意識がここに向かったから。そして、これらを解決する引き金となるのがIoTAIRobotになるということ。ではその核心の核心は何か。それはAIRobotがインターネットに結びつき直接状態や意志を伝えあい、行動する時代がやってくるということ。ものが人間に何もしなくていいですよ、という時代。で、IoTでは人間が作った事業等の境目が全て横に繋がり、知識だけでは負ける為、実行力が必要になるということ。つまり生涯学ばなければいけない。”

非常に濃密な話で、現時点で私も具体的にイメージができていません。ですが、一番感じたのは、人生において、常に学び続けることが大切であり、そうできない人間は今後淘汰されていくということ。つまり、今後は意欲を持った時に実現できる環境に身を置く、または作っていくことが大切であると学ぶことができました。そして、モチベーションを上げる方法は人それぞれだが、それを考えて行くことが働き方改革ないしは未来を考えることになるということでした。色々大変なことが起ころうとしているが、逆を言えば面白い時代が到来しているのだから、積極的なチャレンジをしていってほしいという話であり、勇気と希望が湧いてきました。
次に、実業家・谷川秀行氏から聞いた話はとても強烈なお話でした。シリコンバレーが有名になる前から、シリコンバレーで事業を始め、社長やアドバイザーを歴任された方で、日本人の中で一番シリコンバレーを知っている方でした。

(谷川秀行氏の言葉解釈)“自分は有名な大学を出てないので学歴がない。学歴のない人間がなぜ成功することができたのか。他人と同じことを絶対にしないこと、そして、その誰もがやっていない方法で勝つ方法を考え実践すること。そして、目標を持つこと。上手く行かなければすぐまた目標を立てること。自分が他人と違っていることは何かを考えること。英語はマストであり、本当に早く英語を勉強しろということ。英語でコミュニケーションができなければ、どれだけ優秀な技術を持っていても、使えない人間だと思われる。話せないやつはなんだこいつ、と思われるだけ。”

他にも色々な話を聞いたが、なんといってもシリコンバレーの地で、あのトヨタ自動車が進出するはるか前から事業をして、日本とシリコンバレーの架け橋的な存在であった方の言葉を直接聞くことができたのは非常に良い経験になりました。高圧的な方ではないですが、1つ1つの言葉が重いです。特に、私が今の時代の学生に戻ったら何をするか聞いたら、「大きな市場に向かえ」という話でした。その大きな市場に向かう中で、人とは違ったアプローチを考え、どんな勉強をしたらお金になるか、人生の使い方を考えるように教えていただきました。私がふんわりしたイメージで生きていることが恥ずかしくなりました。また、日本での英語の考え方ではいけないと痛感しました。英語ができて当たり前の時代にまだ日本では英語ができなくてもやっていけると思われているのが、遅いなと思いました。私も英語力には自信がないので、今後もっと普通に英語を勉強していけたらと感じました。

最後に、シリコンバレーについて、主にスタンフォード大学のSaraswat氏と西鋭夫氏からお話を聞きました。シリコンバレーとはどういうところなのか、なぜ起業するのか、その実態についてです。

Saraswat氏と西鋭夫氏の言葉解釈)“シリコンバレーにはPeople, ideas, capitalがそろっているから起業家が生まれやすい。17000起業し、10000が倒産やどこかにいく。若い人々がアイデアをもち、そのアイデアに対してすぐにお金を出して育てようとする環境がシリコンバレー。大学の教授でも研究費を稼ぐために起業する。技術者としてやっていきたいなら、T型人間を目指すこと。そして、T型人間でも深い専門性を早くに学ぶことが大切。なぜなら、深い専門性があればいろいろな人と話すことができる機会を得られるから。”

やっぱりシリコンバレーはすごいなと感じました。日本でも産学連携や起業家養成の為のプログラムが最近多く見られますが、日本の場合はすぐに結果を求めたり、自由にお金を使えなかったりするケースが多いです。それは話の中でも出ていて、シリコンバレーには失敗してもいいからお金を出してあげるエンジェルがいるということ。日本にはそれがないから起業してもAppleみたいな会社は生まれないし、本当の起業はできないのではないかという話でした。また、私は西氏に、日本人について聞いてみました。以前、日本の旧帝大に行った時に感じたそうですが、日本人はとにかく勉強しないし、質問しないし、チャレンジしないからだめだと言っていました。なんと結論は、早く日本を出たほうがいいよ笑、ということでした。日本という環境は学ぶにも起業するにも適さない環境であるということでした。私は一理あると思いましたが、そうはいっても私は日本人なので環境のせいにはできないと思いました。世界を意識しながら勉強し続けていくことが大切であると改めて再認識しました。

[留学後自分の目的は達成できたのか]
他にも博物館、企業を訪問し、日本とシリコンバレーとの学生、大学、企業の違いをまざまざと見せつけられました。日本にいる時には、日本が世界的にも良い国だという刷り込みがありましたが、アメリカから見ると、日本の悪いところ、良いところが見えてくるとはっきりわかりました、そして、今回の目的は十分に達成できたと思います。
「自分に足りないもの」それは2つあると考えました。
=>・広い視野:「日本でどうあるべきか、今どうあるべきか」を意識することは可能性を狭めているだけたということです。どうしても日本国内でキャリアを考えてしまっている自分がおり、もっと時に身を任せた生き方でも良いんじゃないかんあと思いました。
・母国語以外の考え方:「英語が必須・・・だから勉強するはニュアンスが間違っている」んじゃないかと感じるようになりました。英語がなければ自分の目指したいキャリアを歩むことが困難だから、当たり前に勉強する。それくらい当たり前の英語であり、またこれからは英語+αの言語も話せないといけない時代になるのかと感じました。
「目標はどこにあるのか」
=>より具体的な目標は働き始めてから持つとして、それとは別に常に持ち続けたい目標を見つけました。それは自分の可能性を信じ、挑戦し続ける心を持ち続けることです。またその中で、自分にしかできない挑戦をすることです。人違う視点を持つ為には、人が見ている視点は知った上で更にその先を見ることが必要になると思います。その為、常に自分の考えに対して、理由や他に考えられることはないかを考えていかなければならないと思います。

[最後に]

この度は、貴重な機会を頂きまして、三重大学工学部同窓会に深く感謝申し上げます。ありがとう御座いました。これからもこの経験を生かして就職活動や研究活動に精を出して頑張っていきたいと思います。