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2025年1月31日金曜日

 私は、13日から12日までの10日間、三重大学工学部同窓会様からご支援をいただき、タイのコンケン大学医学部を訪問させていただきました。

現在、私は「腰部アシスト装置使用時の脊椎及び椎間板への影響の解明」というテーマで研究を進めています。本研究では、より良いアシストスーツの開発に向けスーツによる椎間板負荷を想定した数値シミュレーションや実際に動物の椎間板試験体を用いた力学試験を行っています。しかし、本研究は現場で働く作業者を対象としており、本来は人間の椎間板試験体を使用した実験が望まれていますが、日本では倫理的な観点から実験を行うことが難しいという課題に直面していました。

今回訪問したタイのコンケン大学医学部は三重大学との国際交流協定校であり、人間の試験体を用いた実験が認められている世界でも数少ない研究機関の一つです。同大学は設備や研究環境も整備されており、三重大学との共同研究の実績も多く、自身の研究テーマに繋がる論文も発表されています。


滞在期間中は、三重大学大学院工学研究科生体システム工学研究室の馬場先生のご協力の下、ヒト屍体椎間板L4/L5における圧縮および剪断負荷実験のデータ収集を行いました。これまでの研究では、主に人間と異なる動物試験体を用いたデータの収集を行ってきました。しかし、動物試験体と人間の椎間板ではサイズや形状が異なるため得られる結果には限界があり、両者の間に存在するギャップを完全に払拭することは難しく、研究の精度を高めるためには人間の椎間板試験体を用いた実験が不可欠でした。今回の実験では、人間の椎間板試験体を用いることにより、信頼性の高いデータを取得することができました。この結果は、アシストスーツの設計や実用化に向けた基盤となるだけでなく、労働者の安全性向上や作業環境の改善に大きく貢献することができると期待しています。



休日にはタイの首都バンコクに移動し、観光も楽しみました。タイの三大寺院であるワット・プラケオ、ワット・ポー、ワット・アルンを巡り、壮大な建築や繊細な装飾に感動しました。また、世界的に有名なメークロン市場も訪れ、列車が通過するたびに素早く片付けられる市場の独特な光景を間近で体験することができました。さらに、タイならではのグルメも楽しみました。パッタイやトムヤムクンなど、本場の味を堪能し、現地の人々との交流も良い思い出となりました。タイの文化や生活を直に感じることで、新たな視点や刺激を得ることができ、研究活動の合間のリフレッシュとしても非常に充実した時間を過ごすことができました。



今回の渡航では、海外の研究機関での活動や現地の研究者との交流を通じて、研究者としての視野が大きく広がったことを実感しました。また、得られた研究結果は非常に貴重なものであり、現在学会発表に向けた準備を進めています。この成果を発表し、多くの研究者と情報を共有することで、さらなる研究の発展につなげていきたいと考えています。最後になりますが、今回このような素晴らしい機会を提供してくださった三重大学工学部同窓会グローバル人材育成プロジェクトの関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。




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