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ラベル
2025年9月から2026年1月にかけて、私はイギリスのセントラル・ランカシャー大学に交換留学生として4ヶ月間留学しました。もともとは、所属大学の協定校であるアメリカのノースカロライナ大学への留学を予定していましたが、当時の政治的な不安定さを理由にプログラムが中止となり、急遽イギリスに行き先を変更しました。今振り返ってみると、イギリスでの留学は私の価値観を大きく変えてくれた、とても意味のある経験だったと感じています。
大学はイングランド北部、マンチェスター近郊のプレストンという街にあります。ロンドンほど知名度は高くありませんが、赤レンガ造りの建物が多く、街全体にイギリスらしい伝統的な雰囲気が漂っておりとてもいい街です。市街地がそれほど広くないため、買い物にも便利でした。
プレストン駅の前の景色
大学は街から切り離された場所にあるのではなく、街の中に自然に溶け込んでいます。孤立した環境に立地している日本の大学とは異なり、キャンパスと街が一体となっており、学生も地域住民も、日常生活の中で入り交じっていました。
最初に気づいた文化の違いは、イギリス人が見知らぬ人と接する際のコミュニケーションの取り方でした。日本と比べると、イギリスでは気軽に話しかけてくる人がとても多いです。レジの店員さんやバスの運転手、駅のホームで待っている人まで、よく声をかけてくれました。最初のうちは英語で素早く答える余裕がなく、日常的な雑談でも緊張してしまうことがありました。しかし時間が経つにつれて、自然に会話に加われるようになっていきました。また、イギリス人は日常のやり取りの中でも感情をオープンに表現することが多く、そうした雰囲気のおかげで、間違いを恐れずに英語を話せるようになっていきました。
交換留学プログラムでは、グローバリゼーションに関する授業と、各国の広告文化を比較する授業の2科目を履修しました。本来は情報工学を専攻しているため工学系の授業を受けたかったのですが、1学期のみの交換留学生には工学のモジュールが開放されておらず、残念に思いました。しかし、結果的に有意義なものになりました。
グローバリゼーションの授業では、政治・経済・文化・テクノロジーが国境を越えてどのように影響し合っているかを学びました。講義中心ではなく、ディベートやロールプレイング活動が多く取り入れられており、成績は2,000語のエッセイとクラスへの参加度で評価されました。あるロールプレイングでは、各学生が異なる国の立場に立って貧困問題について議論しました。クラスメートが多国籍だったこともあり、議論は活発でした。同じテーマを学んでいても、文化的背景や国の経験によって意見が大きく異なることがわかりました。
広告の授業では、世界各国のマーケティング戦略やメディア文化を比較しました。課題は1,500語のレポートとグループプレゼンテーションで、グループメンバーは複数の国から集まっており、各国の広告が社会的価値観をどのように反映しているかについて話し合いました。たとえば、日本の広告は調和や間接的な表現を重視する傾向がある一方、イギリスの広告は直接的でユーモアのあるものが多い、といった違いがあります。多国籍のグループで活動するのは難しい場面もありました。コミュニケーションのスタイルやチームワークへの期待がそれぞれ異なるため、役割分担を決めるだけでも時間がかかることがありました。
イギリスの学習スタイルは、日本で慣れ親しんできたものとは大きく異なりました。日本の授業では、教授が説明する間、学生は静かに聞くことが多いです。それに対してイギリスの授業では、積極的に参加することが求められました。授業中に自分の意見を述べたり、質問したり、他の学生の発言に反応することが当たり前の雰囲気でした。そのため、授業前の予習や授業後の復習に多くの時間を費やさなければなりませんでした。特に学期の初めは、複雑な考えを英語で表現できるか不安になることもありました。それでも、教授たちはとても親切で協力的で、丁寧に質問に答えてくれ、間違いを恐れずに発言するよう学生を後押ししてくれました。
学外での日常生活もとても印象に残っています。渡航前はよくイギリスの食事はまずいという話を聞いていましたが、実際にはほとんどの食事は普通においしかったです。しかし、マーマイトや近所の中華料理店などは私には合いませんでした。プレストンは中東系の移民が多い街で、ケバブをはじめとするさまざまなエスニック料理を提供するレストランが充実していました。友人とよくそういったお店に足を運んでいましたが、どれも手頃な価格でおいしく、各国の料理を試すことが日常の楽しみの一つになりました。
週末や休日には、機会があるたびにイギリス各地やアイルランドを旅しました。グラスゴー、ロンドン、ダブリン、マンチェスターを訪れましたが、それぞれの街がまったく異なる雰囲気を持っており、旅を通じてその多様性を肌で感じることができました。
特に印象的だったのはロンドンでした。ピカデリーサーカスや大英博物館など、教科書や映画でしか見たことがなかった場所を実際に訪れることができました。街は世界各国からの観光客や、さまざまな文化的背景を持つ人々で活気にあふれていました。
ロンドンのピカデリーサーカス
ダブリンではギネス・ストアハウスを見学し、歴史的な街並みを歩き回りました。街全体にゆったりとした雰囲気が漂っており、夜はパブでライブ音楽を聴くのを楽しみました。アイルランドはイングランドとは、アクセントや建築、街中での会話の雰囲気など、さまざまな点で異なっていました。
ギネスストアハウス
一方で、イギリスでの生活が常に順調だったわけではありません。天気はしばしば曇りや雨で、気温も低い日が続きました。冬になると日没がとても早く、日照時間が日本と比べて驚くほど短かったです。こうした環境のせいで、体が疲れたり、何事にもやる気が出なかったりする日もありました。日本食や家族、母国語で話せる安心感が恋しくなることもありました。それでも、友人たちが学期を通じてずっと支えてくれました。パブや飲食店などに誘ってもらったことで、孤独を感じずに済みました。
もう一つの興味深い発見は、日本文化がイギリスでいかに広く浸透しているかということでした。グラスゴーでは歌舞伎にインスパイアされたオペラが上演されており、スコットランドで伝統的な日本の文化テーマに出会うとは思ってもいなかったためとても驚きました。また、書店には大きなマンガコーナーが設けられていました。留学前は、日本文化が海外でこれほど広まっているとは十分に認識していませんでした。
本屋にて
今回の留学は、英語力だけでなく、様々な面で私を変えてくれました。4ヶ月間毎日英語でコミュニケーションをとった結果、リスニングとスピーキングのスキルは確実に上がりました。しかしそれ以上に、異なる背景を持つ人々と関わる力が身についたと感じています。自分の考えをわかりやすく伝えること、慣れない状況に対応すること、文化の壁を越えて人間関係を築くことといった力を育むことができました。また、異国の地で様々な問題を自力で解決しなければならない場面が多く、自立心も養われました。
この経験を通じて、将来についても真剣に考えるようになりました。国際的な場で活躍し、日本と世界の両方に貢献できる人間になりたいと思っています。様々な国の人と出会うことで、コミュニケーションと相互理解が今日のグローバル社会においていかに重要かを痛感しました。イギリスでの日々は時に困難もありましたが、この経験で得た自信と広い視野は、これからの人生においてもずっと活かしていきたいと考えています。
帰りに友人が見送ってくれました
最後になりますが、工学部同窓会の奨学金のおかげでとても有意義な留学生活を送ることができました。同窓会を支えてくださっている皆様に感謝申し上げます。
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